グロスマンアカデミー 生徒作品ブログ

Grossman Academy Students Opinion Blog

Archive for the ‘2011年度 小説’ Category

小説 無題

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小説
無題
府川 耕大


 「お兄ちゃん、お腹空いたよ」
 公園からの帰り道で勝男(かつお)は勝(まさる)に訴えた。
 「家に帰ったら、昨日の残り物があるよ」
 僕達はよく夏休み中には一日中ずっと公園で遊ぶ事が多い。

 アパートに着き家の中に入る。そこには古い6畳ほどの部屋がある。僕は1畳のキッチンに入り、昨日の残り物を冷蔵庫から取る。電子レンジに入れ、はしやコップを引き出しから出す。僕の家は小さいトイレに4畳の部屋しかない。夜ご飯の準備を終えテーブルの前で待っていたら、お父さんの浅野 正勝(あさの まさかつ)が仕事から帰って来る。

 正勝は朝の5時にアシックスの靴工場に出勤して、夜の8時に帰宅する。月、火、水、木、金、土曜日に13時間働き、日曜日には息子たちとの時間を取るために朝5時から1時、7時間働いている。自給はそんなに高くないが毎日長く働く理由がある。それは彼の妻で勝と勝男のお母さんは交通事故で亡くなっているからだ。家族で特別の外食への途中で車と衝突した。運転していた正勝と勝は無事に助かったが、お母さんと勝男は助かっていなかった。白い座席が赤く染まっていた。お母さんは頭から血が出ていて、倒れこんでいた。勝男の足から血が出ていて、立てる状態でなかった。すぐに救急車を呼んでお母さんと勝男を病院に送った。医者は弟が助かったと言い僕とお父さんはとてもうれしくて互いを抱きしめた。けれどその後医者は、お母さんが亡くなったと言った。僕はその時8歳であり、弟の勝男は5歳だった。その日からお母さんなしで男3人だけで、暮らすことになってもう5年たった。
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電子版投稿者: T.Sasajima

August 12th, 2011 at 2:07 am (PDT)

小説 「鏡の自分」

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小説
鏡の自分
持永れみ


2080年。日本。東京都。

1. プロローグ

 見渡す限り、灰。自然の一かけらも見当たらない。水、草、木、その他の緑も消滅している。地球は現在、真っ暗だ。
 2080年とは、今から69年後の時代。今では、ロボット達が世界を治めていて、人間の人口は、一段と減ってしまった。21世紀の終盤となり、人間の力とは不必要となった。すべてはロボットが政治、経済、ニュースなどを支配しており、ホトンドの人間はカットされてしまった。未来には残るといわれてる精神科医や芸術家も、他の人々がいない限り成り立ってない。数十年の間に、絶望を感じた人間達は、世界で多様な自殺などが行われ、世界の人口はおよそ30人となった。世界中の生き残りは、ロボット達をひどく憎み、東京都を自分達の本拠地とし、ロボット達と戦争におちいている最中だった。
 人間の人口が減る一方で、ロボットの数はかなり増えた。まだ、2020年の頃、人間達の未来の恐れを気づかずに、さまざまな活用ロボットを発明していた。「自分達の役に立ってくれる」と信じて、人間達は、後先考えないで、作っていた。しかし、技術は毎日進んでいった。その中である一人のロボット製作者は、あるミスをおかし、人間滅亡のきっかけを作ってしまった。それは、ロボット達に「意思」を与えてしまった。その後、ロボット達の暴走が始まり、ロボット達の全世界制覇/人間滅亡 の作戦が開始されたのだった。
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電子版投稿者: T.Sasajima

August 2nd, 2011 at 1:57 am (PDT)

小説 「蛍光灯と蛍雪」

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小説
蛍光灯と蛍雪
中村 茉貴


 何時だっただろうか。僕がこの地に足を踏み入れたのは。仕事で入力ミスのヘマをして、メディアに派手に報道されて、アメリカから自分の名前の知られていない土地に越した。やり直す為に。逃げてきたといってもいい。
 正式には『引っ越そうとしている』の方が正しいだろう。この時代、メディアが普及していない場所なんて先進国には無い。かと言って言語から学びなおすのはごめんだった。そんな無理難題・我侭この上ない条件の下ようやく見つけたのがインドの低い山の一つにあるこの村だ。そうして僕は丁度空いていた一軒家に転がり込み、20XX年の冬が終わったばかりの頃の春先、今に至っている。
 世話を焼いてもらっている家族の家のベランダに座りつつ、村を取り囲み、限りなく広がる草原を見渡し、澄んだ空気を深く吸い込んだ。都会からだといざ旅行に行かない限りなかなか体験する事はできない。都会にいると人は自然の中の、宇宙のなかのちっぽけな存在に過ぎないという事を忘れてしまいそうだった。
 そんな、なんとなく切ない気分に浸っていると背後に気配を感じた。振り返ると、この家の一人娘のラタが、壁の陰から顔を覗かせていた。彼女はまだあどけなさの残る顔で笑うと、
「お茶をどうぞ」
と淹れたての茶の入ったコップを手渡してくれた。
「ありがとう」
僕が笑い返して言うと、道側から子供の声が聞こえてきた。気をとられてそちらを見ると、ラタ位の年齢の子や、それより多少幼い子の集団が、僕が先程見ていた方向に向って駆けていっていた。その内の一人の少女が
「ラターっ」
とこちらを振り向いて手を振り、そのまま駆けていった。
ラタは笑いながら手を振り返したが、あの集団に加わろうとはしなかった。
「おや、君は一緒に行かないの」
僕が不思議に思って問うと、少女は残念そうな顔をして、日差しの中で輝く雪山の方向に目をやった。
「私ね、足が動かないの。山の中で友達と遊んでて、転落して以来ずっと。普段はカートに入って友達や家族に押してもらってるの。自力でも動けるには動けるんだけど、何せ木製だし、あまり遠くには行けないの」
 そう言って彼女は先程まで留まっていた壁の陰から出てきた。見ると、彼女はいかにも素人が一生懸命作った木製の車椅子に座っていた。実を言うと、彼女と会うのは今日がまだ二回目であった。一回目は彼女の両親に夕飯に招かれたときだった。僕は食べ終わってもずっと座っている彼女を、行儀がいいと感心していた。
「そう……悪かったね。こんなこと聞いて」
「いいんですよ。事実ですし。でも、自分の過失で、友達や家族に迷惑をかけて、申し訳ないな、って」
 そう言って彼女はすっかり冷めてしまった茶を一気に飲み干した。きっともう一度自分の足で立ちたいんだろうな。当然と思っていたものを失って、その日常を取り戻したいと思わない人なんているんだろうか。そんな思いに浸っていると、僕ははっとした。自分が学生だった頃、あるフォーラムに出席したのを思い出した。そこで山海さんという人が披露してくださったのが、人の神経伝達物質の発する電気信号、運動意志を感じ取り、その通りに動くロボットスーツだった。パチンコ屋の店頭に飾ってあるSFチックなポスターから飛び出てきたような代物だった。試着した女性も、観客席の僕らも、そのスーツが素晴らしくて、余りの感動に息をのんだ。
「おじさん、お昼も家で食べていかない?どうせ皆は昼も忘れて帰ってこないから、お母さんにいいか聞いてみる」
 物思いに耽け、冷めてしまった自分のお茶を飲み干しながら、僕は彼女の去っていく後姿を見守った。
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電子版投稿者: T.Sasajima

July 27th, 2011 at 1:54 am (PDT)

小説 「新世界が待つ」

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小説
新世界が待つ
谷 法之


 時はすでに第五次世界大戦から十年、人々の戦いは今のところ静止している。クォートの人たちは元通りの生活に戻っていたし、サイナードの人たちは戦前のように食べ物を作っていた。ヤークの人たちは工場で人間を作るのを止め、発電所として機能していた。


 クートの国では人間が作られている。そのため、戦争が十年前にあったのに、人口は戦前以上になっていた。五百億いた人間は戦争中三百億に減り、今では世界の人口は七百億人となった。クートが大量に人間を作れるのはヤークがすぐ隣で大量の電気を作っていたということと、国の面積がとても大きかったからである。人間の女性から卵子を取り、その卵を試験管に入れ、特別な液を入れて育てた。胎芽になれば少し大きな試験管に入れて、さらに成長させる。胎児になったらさらに大きな試験管に入れる。この時、この試験管とともに特別なタンパク質が加えられる。そのタンパク質には四種類有り、入れられたタンパク質によってその後出来る人間が決まっていた。最初のタンパク質は研究者たちのように頭の良い人間を作るタンパク質。二番目のタンパク質は研究者ほど頭が良くないが、それでもかなり頭が良く、運動が出来る人間を作るタンパク質。三番目のタンパク質は平凡な人を作るタンパク質。四番目のタンパク質は労働を行う人を作るタンパク質。タンパク質は「母親」が決めることが出来、一番高額なのは一番目、次に二番目、次に三番目で、四番目はただのタンパク質である。このように入れるタンパク質によって今後の人間は決まるが、時には突然変異で四番目のタンパク質で出来た人間が一番目の人と同じくらいの知能を持つことが少なくなかった。 Read the rest of this entry »

電子版投稿者: T.Sasajima

July 21st, 2011 at 1:51 am (PDT)

小説 「ヤンキー、実はヲタクだった。」

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小説
ヤンキー、実はヲタクだった。
上畠 啓暉


第一部: 序章

 ヲタクは1970年代に日本で誕生したサブカルチャーのファンであり、独特の行動様式や文化を持っている。だが他分野の知識や社交性に欠けているため、自分たちと同じような趣味や関心がなければあまり話せない。そして漫画やアニメ、コスプレ、フィギュアなどのに深い関心を持ったマニアである。だから萌えや秋葉系などといったキーワードと強く結ぶつけられる。彼らは毎日のように秋葉原を訪れ、自分たちが好きな漫画やアニメのフィギュアなどのグッズを買いに行ったり、自分たちが好きなアキバ系アイドルに会いに行ったりしている。ファッションも自分たちが好きなキャラクターやアイドルがプリントされているTシャツやバッグを身にまとっている。恋愛に関しても、普通の3次元の女の子には一切興味を持っておらず、アニメの中の2次元の女の子や2.5次元と呼ばれるフィギュアやアイドル声優にしか興味を持っていない。そして給料やお小遣いでもらったお金はほとんど全部、自分たちが好きな秋葉系のものに注ぎ込んででいる。こういう特性を持っているせいか、世間一般的に「気持ち悪い」というイメージが強く植えつけられている。現代は特に若い層からそのヲタクたちは気持ち悪がられている。

 今回の主人公、日村和夫は、このヲタクのステレオタイプにぴったし当てはまる人物だ。日村和夫は身長は181cm。高校に毎日通う高校3年生であり、二日に一回、秋葉系の友達と秋葉系のキャラクターがプリントされたシャツとバッグをまとい、秋葉原に行っていた。そしてメイドカフェに行ったり、アキバ系アイドルのライブに行ったり、お小遣いでアイドルやキャラクターのフィギュアを買ったりする。こうして二日に一回はアキバ原で日が落ちるまでアキバ系の娯楽を楽しんでいた。学校の周りの生徒たち、特に女子たちは日村を見るたびに気持ち悪いといい、日村を小ばかにしている。この情報だけ見ていれば、「ヲタクとしてのレベルは相当高い」と思うのが普通だろう。だが、日村和夫は365日この「レベルの高いヲタク」でいるわけではない。このヲタク系日村和夫は正真正銘の本物の「日村和夫」なんだが、日村和夫にはもうひとつのヲタクとはかけ離れた世界で活動している顔があったのだ。そのかけ離れた世界で活動している日村和夫は別の名前を使っている。その名は「鬼塚隼人(通称スーパーリーゼント)」。この日村和夫扮する「鬼塚隼人(通称スーパーリーゼント)」というのは東京の暴走族、東京リーゼント部隊、の総長である。「鬼塚隼人(通称スーパーリーゼント)」が束ねているこの東京リーゼント部隊というのは東京では最も強いとされており、ほかの暴走族じゃまったく太刀打ちできないとされている。そんなすごい暴走族の総長であり、がたいも大きいため、「鬼塚隼人(通称スーパーリーゼント)」に手を出そうとする奴はいない。二日に一回は東京リーゼント部隊の総長としての役目を果たしている。ただこの「鬼塚隼人(通称スーパーリーゼント)」、ケンカのノウハウが一切ない。なぜなら普段は学校中の生徒に気持ち悪がれるヲタクだから。身長は生まれつき高いだけ。筋肉はあまりないから、厚の服を着ているだけ。フィジカルの強さはゼロといってもうそではない。

 当然、ヲタク友達は自分がヤンキーである事は明かしていない。そして当然、ヤンキー仲間にも自分が本当はヲタクである事は教えていない。ヲタク友達にヤンキーである事を明かしたら、友達ではなくなってしまう。そしてヤンキー仲間にヲタクである事を明かしてしまえば、馬鹿にされるだけでは収まらないであろう。ヲタクの上に喧嘩もできないとわかれば、ボコボコにされる事は間違いなし。だから本来の自分である「日村和夫」としてはヤンキーとしての自分を何が何でも隠し通さなければならないし、「鬼塚隼人(通称スーパーリーゼント)」としての自分は自分がヲタクであるという事とケンカが一切できないという事を何が何でも隠さなければならない。 Read the rest of this entry »

電子版投稿者: T.Sasajima

July 13th, 2011 at 1:48 am (PDT)