【生徒作品】中村 美桜 13歳

【生徒作品】中村 美桜 13歳

「”バチ”で生かされる人間の話」

太鼓はハチがないと大きな音が出ない、ただの大きな箱である。だから太鼓が輝くためにはバチが必要なのだ。バチの材質や、柄の長さ、ヘッドの大きさなどで音が大きく変わる。しかし、いくら人々が太鼓に興味を持っても’バチ’のみに興味を持つ人はなかなかいない。だから祭りや運動会で太鼓を聞く時、’太鼓すごかったね’ とは聞くけれのも、’バチがすごかったね’とは聞かない。そうなるとバチが少しかわいそうになってくる。バチは力強く人々の手に握られて、太鼓の表面に思いっきり叩きつけられ、バチとたいこの表面との衝突で音が鳴るのに、音の成果はみんな太鼓にとられてしまう。私たち人間にも、太鼓と同じようにいきていることが沢山ある。

ある日、リスを研究している博士が飼っていたリスたち二ひきが逃げてしまい、博士は困ってしまった。その博士はリスに関するいろいろな発見をして論文を発表し、研究者たちの中では尊敬されていた人であった。

しかし彼の成功を支えていたリスたちは、ケージの中に閉じ込められ、いろいろな実験をさせられ、惨めな暮らしをしていた。そこでリスたちは自由を求めて計画をし、逃げたのだ。
その博士は、自分の研究者としての成功は自分の手柄だと信じていた。しかしリスたちを失って始めて、リスたちのおかげだったのだということに気がついた。

博士はリスたちを探しに行ったが、うさぎを見つけたり、トリを見つけたりするばかりだった。うさぎはリスより利口であり、トリは空を飛ぶことができるが、彼はリスの博士だから、リスが必要なのだ。かれはリスを見つけることはできず、もう博士としての研究で光ることはできなかった。彼が成功している間に気づかなかったリスの存在の大事さを、彼はリスをなくしてからやっとわかった。

太鼓も、バチを失った時にはじめて、バチの存在価値を理解するのかもしれない。