【生徒作品】筒井桜 10歳

【生徒作品】筒井桜 10歳
「野上弥生子の哀しき少年に出てくる哀しさとは何か」

 野上弥生子が書いた、哀しき少年に出てくる主人公の隆は3歳8ヶ月の時に、父が病気で亡くなった。それから、彼は哀しい人になった。
 例えば、彼は14歳になって、学校で軍隊の訓練をしていた時に、いきなりぼーっとなって他の人たちが言っていることが一瞬、聞こえなくなった。そして、彼はいきなりそこから逃げて、自分の家に帰ってしまった。そこで近くの木に登って隆は考えていた。そこで彼が思い出したのは、姉に連れられてその前の日に、見に行った戦争の映画のことだった。
 隆は戦争というものは何かということをちゃんと、理解していなかった。どのくらい戦争というものが恐ろしいかを知らなかった。けれど、姉と見に行った戦争の映画で兵隊たちが1人、1人、殺されるシーンを見てとてもショックを受けた。
 私はこの時、隆はきっとあの映画に出てきた戦争の様な時代になるのが信じられなかったのだと思う。父というのは自分を支えてくれて、勇気をくれる。けれど、隆は父が亡くなってしまった。彼は父がいなくて、未来に自分は安心して生きていけるのかと言うことを感じたのだと思う。
 それに、隆は中学に入る時に、兄からのお下りで制服を着ていった。現在の制服にはもっとボタンがついていた様だ。だから中学の近くにあった制服屋さんで50個のボタンを買って来た。それで母に渡した。隆もこのボタンを全部、制服に着けてとは言う訳でもなかった。けれどせっかく50個も買っていたから、母はこのボタンを全部、制服に着けた。
 隆は授業中にせっかく、母が着けてくれた50個のボタンをハサミで全部取ってしまった。この時も隆は本当は新しい制服を欲しかった。けれどそれをちゃんと言えなくて、ボタンのせいにしてしまった。
 普通だったら、きっと自分が本当に思っていることを言うはずだ。けれど隆はそれを言えなかった。隆はその時、自分の気持ちを言うのが怖かったのだと思う。父が亡くなって、自分を支えてくれる人が無くなったからだと思う。だから自分の思いをちゃんと言えなかったのだと思う。
  この哀しさは何なのでしょう。自分の父を亡くすと、自分の中には大きな穴が空きます。隆はきっと、この大きな穴を塞ぐために苦労をしたのです。それから彼は哀しい人になったのです。