【生徒作品】中村 美桜 13歳

【生徒作品】中村 美桜 13歳

「野上弥生子の哀しき少年の哀しさとは。」

野上弥生子の「哀しき少年」は、3歳8ヶ月の時に父親を無くした隆という少年のことを書いた物語だ。彼は哀しい少年時代を過ごし、哀しい人になってしまった。

彼の父は、隆が 3 歳 8 ヶ月の時に腎臓病で亡くなっており、父のことはあまり覚えていない。隆には 2 人の兄と 1 人の姉がいるが、彼のことを気にしているのは、母と姉くらいで、2 人の兄たちとはあまり交流がなかった。

隆は少し変わった少年だと思われていた。小学生の頃から数学だけはよくできたが、それ以外は勉強しようとしなかった。彼は「修身ではいつも叱られているか、あてつけられている気がした。」と言うし、歴史でみんな楠木正行にならなければいけないと激励されると困ってしまった。彼には正成のようなお父さんはいなかったし、顔さえ覚えていなかったからだ。しかし手を上げてそういったら、先生に睨みつけられた。

隆はその後もう勉強して良い中学に入ったが、ある日軍教の授業から逃げだす。それは前日に姉と姉のボーイフレンドと一緒に見に行った欧州戦争の映画を思い出させるもので、その戦闘シー
ンを思い出してショックを受けたのだ。

隆は時折父のことを思い出し、なんで早くに亡くなってしまったのかと父のことを責める。彼の人生の中に頼れる男の人がいない。男の生き方を教えてくれる人もおらず、だから彼はいろいろなことを自分で実践しながら生きていかねばならなかった。

彼にもし父親がいたならば、戦争や戦い、軍事練習などにも、父を通じて知る機会があり、そこまでのショックを受けなかったのかもしれない。彼は父親の存在を知らずに育ったゆえに、心の中に何か埋められない穴がぽっかりと空いていた。そして常にその穴を埋められない哀しみから自分を解放することができなかったのだ。