【生徒作品】府川 耕大 17歳

【生徒作品】府川 耕大 17歳

エッセー
「字の無いはがき」を読むと涙が出る。なぜか。
府川 耕大

自分の感情を表現するには、口から出さなければいけないと言う人が多い。けれど言葉から表現しなければ、相手に伝わらないという考えは思い違いである。言葉で感情を上手に表現する事が出来ない人は、決して感情を表す事が出来ない訳では無い。言葉は使わないと直接に相手に伝わらないかもしれないが、文字を使って感情を伝えることも出来る。
向田邦子がまだ家族と一緒に暮らしていた時、彼女の父親は一切愛情や尊敬を表さなかった。けれど彼女が学校のため家を離れて、父親とはがきを通して言葉でつながる事になって後、彼らの間に良い関係が生み出された。彼女の妹も同じように、父親とはがきを通して思いを通じた。妹の場合は言葉でも文字でも感情を表現する事が出来なかったから、代わりに単なるばつとまるで表現した。はがきに現れるのはただの線に見えるかもしれないが、その線には深い意味を持つ。その時の感情により線の太さや大きさも変わり、その線から妹の思いが伝わる。外からは単なる線としか見えないかもしれないが、本当は深い意味を持つ、妹の感情の線である。