小論 「人工頭脳の急激な発達と私の自衛策」


小論
人工頭脳の急激な発達と私の自衛策
谷 法之


 この数年で、コンピューターはさらに進化してしまった。今のコンピューターと昔のコンピューターを比べると性能と大きさに大きな違いがある。昔のコンピューターは大きな部屋一つ分の大きさでとても人間が運ぶ事が出来るようなサイズではなかったが、今のコンピューターは数キログラムの重さで、それほど部屋のスペースを取らない。さらに、今はデスクトップのように持ち運びが出来ないコンピューターだけでなくコンピューター内にバッテリーを入れて、持ち運び可能なコンピューター、ラップトップが出てきた。コンピューターは今人間には必要不可欠な物になってしまった。しかし、ここである問題が出てきてしまった。それは人工頭脳の発達である。人工頭脳はついに人間を負かすことが出来るようになって、もはや“自然頭脳”は人工頭脳に負けてしまった。人工頭脳の発達は人間にどうゆう悪影響を及ぼすか。それは人間の進化とその可能性を消すという事である。

 アメリカのテレビ番組で“Jeopardy”というクイズ番組がある。このテレビ番組はただ知識だけでなく、その時のゴシップ情報などいろいろなメディアからの情報が必要なクイズを出す番組である。従来のスーパーコンピューターは元々計算のような数学的理由で作られた物が多い。しかしワトソン、”Jeopardy”で人間を負かしたスーパーコンピューター、は言語を専門とするスーパーコンピューターである。人工頭脳はこの時点で人間よりも賢くなった。そう断言するよりも、人工頭脳は人間より大量の情報を収容することが可能になり、なおかつ自分でその必要な情報を引き出すことが可能になったということになった。人工頭脳の知能は人間が与えた知能である。そのため、コンピューターが知能を作りだしたということは考えにくい。

 人工頭脳は人間の職を簡単に奪えるようになった。昔は人間が必要なもの(物理的、情報など)を見つけて提供していたが、今ではコンピューターがその必要なものを見つけて、さらに機械がその必要なものを必要なところへ持ってくるという時代になってしまった。このような簡単な仕事はとっくに機械とコンピューターに取られたが、今後さらに高度な仕事も人工頭脳に取られる。それは情報ベースの仕事や機械を使う仕事である。情報量が多い仕事ほどコンピューターは使われる。そして、その情報を提供するコンピューターは次に考え、最高の判断を出すレベルまでになるだろう。人間の仕事で消えないものは人間的判断が必要な仕事。それは人権や命の選択に関わる仕事である。そして、答えがはっきりとしていない問題を扱う仕事も消えないだろう。今のスーパーコンピューターは二つ以上の答えを見つける事が出来る。しかし、その答えが道徳的なものであるかないかは人間が判断する。道徳絡みの問題は感情が必要であり、コンピューターは感情を持てない。コンピューターは小説のような話を作ることも考えることも出来ず、また芸術を作ることも出来ない。

 人間に近いコンピューターともっとも人間な人間の違いはコミュニケーションである。スーパーコンピューターは会話を行う時、出来るだけ人間のようになるよう話す。しかし、その話し方には欠点があり、出来るだけ少ない言葉で話そうとするということである。チューリングテストというコンピューターがどれだけ人間らしいかを決めるテストで、審査する人が人間、またはコンピューターと話、どの話し相手が人間であったかを判断するテストである。そこで、「もっとも人間らしい人間」に与えられる賞がある。その賞をもらったブライアン・クリスチャンはこのテストに参加した時の事、コンピューターと人間の違いを”Atlantic”の三月号に書いた。彼はより人間になるために、会話数を増やした。テストはコンピューター越しで行われた。そして、人間がコンピューターで会話する時の独特の間を消すためにまるでその場で会話しているように早く回答、または話した内容をさらに深く話すなどということを行った。コンピューターは必要以上に話さないが、人間は話す。その点を使ったクリスチャン氏はより人間に見えたのであろう。人間である証拠は会話であり、より自然に会話することが人間である。人工頭脳のそれは無い。

 人間の進化と進歩は人工頭脳によって止められてしまう。人間は人工頭脳に完全に頼りきり、自分で考えるということ事態を考えない。人間は新しい発見が出来なくなる。それは疑問を持たなくなるからである。人工頭脳という便利なものが出来て、頼ることになって考えなくなる。人間は人間独特の進化を止めてしまう。自衛策として、もう計算では人工頭脳には勝てない。そのため、人間的なものだけは無くさないことが大事である。考える、疑問を持つということが人間である象徴。毎日問題を考え、疑問を持つことがコンピューターに負けない自衛策である。天才になるためだけでなく、人間として存在するためにも、毎日進歩しなければいけない。