小説 「誇り」

小説
誇り
府川 周平


 母から叱られ以来僕は一度も部屋を出ていない。部屋の鍵をしてから既に三日が過ぎた。いつもの三食が必要で腹は奥から泣いている。精神的追い込まれ自分自身も泣きたいところだ。部屋に篭り始めた初日は散々父母から怒鳴られていたが今は注目されてなく、一言も喋ってくれない。いつも一緒だった弟も話しを聞いてくれない。時計をちらりと見た。夕方6時半だ。今頃皆は夜飯を食べているだろう。やはり父と母も僕の行動に対しあきれてしまったのだと思う。だが僕はその事実を無視し、自分の人生だけに集中することにした。両親には十六年も育ててもらい僕は心から感謝している。だがその事を取り消してしまう行動を親は取ってしまい、僕は正直発狂した。そして決心した。二文字の言葉だ。家出。まるでドラマのようだ。今夜はいつもと違う。長い針が十二、小さい針も十二になる瞬間、窓を開け、網戸を破り外に飛び出し、社会への第一歩を自信持ち掴む。布団をもぐり中で転がりながら暇つぶししていると足跡が聞こえた。うるさく大きい足跡だった。自分に「父さんか…」とため息をつきながら囁いた。彼はドアを叩き「お前いつまでそこにいるつもりか。母さん心配しているぞ。」と言った。彼を信じられない自分がとても恥ずかしい。僕は無視が出来ず彼に言い返した「嘘つき。父さん大嫌いだ。」無意識に出てしまった言葉は父の心を突き刺しただろう。静寂が雰囲気を変えてしまい遂に父さんが吐き出した「分かった。何回も謝っても許してくれない息子は必要ない!」僕は無表情のまま彼の言葉を聞いた。父は不満でリビングに下がった。家出の準備を続け時間をつぶした。


 その頃一階で何が起こっていたかはもちろん彼は気がついていなかった。それは彼のサプライズになるだろう。

 学校のように時間はのろい。三十分が経ったと思い、時計を見たら十分しか経ってなかった。地球がより早く回転していたら僕はより速くこの牢屋から逃げられる。大体何故十二時に拘る。十一時でも十時でも問題ないと思う。俺様は完全主義者だからだろう。これは良いのか、悪いのか。どうでもいい。頭が完全にごちゃごちゃで集中できず、やる気もなくした。人生の意味が見つからない人生を十六年も過していた僕は漸く自立し、社会へ旅立つ。英語のクラスで読んだオディシーのようだ。辿り着く目的は特にないが、両親の力を捨て、自分で社会に通用させるのが目標とする。巡礼に似ている事を今夜始める。精神的な準備をする為うたた寝することにした。

 「助けて。死んじゃう。助けて。誰か。」

 「うあ。ただの夢か。」布団から出て時間を確認した。首を振ってもう一度チェックした。九時。朝か夜どちらか知らず、立ち上がった。窓を開けたらいつものおばさんがダックスフンドと散歩をしていた。その小さな尻尾が可愛くて堪らなかった。太陽は国民に日光を与え、近くの幼稚園は小さな子供で賑やかだった。鳥は精一杯鳴いていた。蜂は受粉し仕事を果たしていた。自然界は元気で皆自分の役割を果たしている気がした。子は遊び、若者は勉強し、大人は働いていた。人間以外の生物も精一杯生きていた。涼しげな風が僕の髪の毛を旗に用に飛ばした。そして気が付いた。仕事を果たしていないのは私のみなのだ。自分勝手な僕はいつも遣りたい事を遣り、遣りたくない事は無視した。自分の責任と役割は達成出来ず、社会貢献もしていなかった。外の空気を吸い、恥をかきながら思った。人生の意味は何なのか。何も達成していない僕は何故存在しているのか。今から何が出来るのだ。ヒンヤリの空気は鼻を通り、肺を冷えさせた。「僕は生きているだけで幸せなのだ。この部屋の中で何をしているのだ。両親に謝って、僕は地球に存在する資格があると証明しないと。」僕は大きなため息を出した。そして何日間を触られていないドラの取っ子を握った。ほこりが手を汚した。だが無視し、もう一つの手で鍵を開けた。その途端、僕は物凄い腕力で後ろに飛ばされた。そして二人の人物が僕を囲んだ。目をあけると父母だった。母さんは冷静だったが父ちゃんの顔は鬼のようだった。謝るのはやはり悪いアイデアだった。だがもう遅いので話しを聞くことにした。父さんは練習していたような説教を始めた「お前何考えている。俺と母はせっかくお前の為に金と時間をかけているのに、お前のせいで台無しだ…」何分間の説教だったかは知らないが半分過ぎた頃は既にうっかりしていた。だが僕が予想していた展開ではなく、少し残念だった。正直空想にふけていた。その夜寝る代わりに予定通りに脱出していたら僕の人生はどの様な道を辿っていたか。人生は何千、何万、何億個のバリエーションがあると信じている。例えばある日誰かが飲み会に行き、酔っ払っている状態で車を運転し家に戻っている間無罪の人物を轢いてしまったら、その瞬間彼の人生は変わる。その人は第二のチャンスは貰えないだろう。逮捕され、被害者の家族や弁護士から責められ、牢屋に行き、何十年間もその酷い場所で新たな人生を過すのだ。牢屋から出ても後悔すると思う。この考えで何気なく体が震えた。現実に引き戻ると父さんは未だ騒いでいた。母さんはいなかった。父さんを割り込み言った「父さん、俺なんで存在しているんだ。」父さんは複雑な表情を出しながら答えた「なぬ?」「だから俺が生きている意味は何だ?」と聞いた。父さん降参し頭良さそうに言った「自分で考えな。」そして去った。とても気まずかった。父は僕が何日間も自分勝手で部屋の中で篭っていたことを忘れてしまったのか。まさか。父さんはエンジニアである。最低限の才能はあるはずだ。この十分で人生が完全に変わった感じがする。

 気分転換した僕は早速一階に下がり謝ることにした。ドアを倒す気力で通り過ぎ、階段を素早く下がった。弟はサッカーの練習で外出していた。母さんも買い物の為家にいなかった。僕を父さんだけだ。母さんが帰ってくるまで待つことにした。何十分後、玄関のドアが開き母さんが両手で買い物袋を抱えながら入ってきた。素早く反応し母さんの方法へ駆けた。無意識に重いほうの袋を手渡した母さんは驚いた。「あんた何してんのよ。」「僕気分転換したんだ。母さん心配させて御免なさい。」と素直に言った。「あんたー」と一言喋った母さんは台所へ向かった。許してくれた母さんの緊張はほぐれ、顔色は真っ赤から元の褐色に戻った。袋を取り、冷蔵庫の方向へ向かった。冷蔵庫のドアを開ける途端、冷たいそよ風がオーラを涼め、扇風機の様に母さんと僕の体と精神を涼めた。食品をきちんと冷蔵庫の中に入れ、隣の冷凍庫からアイスクリームを出した。母さんに渡し、自分のアイスを食い始めた。既に家族との関係が良い方に進んでいた。嬉の感情があふれ、早速父さんも呼んだ。母さんはリビングに行きアイスクリームを食べていた。部屋を不満に出た父さんにもアイスクリームを与え、母さんの隣に座らせた。僕は王の様にテーブルの上に立った。深呼吸して謝りのスピーチを始めた。「父さん母さんへ。僕は計三日間自分の部屋の鍵を閉め、中で篭っていました。この理由はご存知だと思います。その時期、僕は物凄く怒って、怒りを隠すことは出来ませんでした。この為、脳が対応してしまい、部屋に篭る結果になってしまった。だが日が越し、深くあの喧嘩を考えると、本当に悪い行動を取ったのは貴方ではなく、自分なのだと気が付いた。その時、僕が大げさすぎる代わりに冷静に対応していたらこの問題自体が始まってなかったと思う。だが自分のせいでこの事件全てが始まってしまったのだ。なので、僕は謝る必要がある。父さん母さん二心配をかけ、父さんが行った通り、僕は全然社会貢献をしていない。お父さん、お母さん…御免なさい!」一分前後の沈黙が僕を緊張させた。謝りながら頭を下げた為、両親は何をしていたかが分からず、緊張を解す一言を待っていた。そして父さんが氷を砕いた。僕の頭を撫でながら語った「謝るのはこっちの方だ。ゴメンナ。俺と母さんは正直お前が部屋の中に居る間、逃げてしまうと思っていたんだ。」その途端僕は気が付いた。父さんと母さんは僕が部屋の中で取っていた行動全てを目撃していたのだ。両親はスパイなのだ。僕の反応を分析した父さんは「びっくりしたか。」と上から言った。「雅か、お父さんとお母さんはスパイなの?」と少しおびえながら聞いた。「決まっているだろう。」と返した。「だがもう引退し、普通の仕事、普通の人生過しているから心配するな。」と言い足した。この事実に驚いた僕は無言だった。良い事か悪い事どちらかが知らず、単にびっくりだった。冷静になる、心を取り戻した僕はもう一度確認した「お父さんとお母さんの元職業はスパイだった。」今回は母さんが「ピンポーン。」と何故か嬉しそうに答えてくれた。「スパイって何処をスパイしたの。給料は良かったの。」など僕は無数の質問を聞いた。父さん母さんの事がもっと知りたく、正直自分自身をスパイになりたかった。インタビュー的な会話になった。何時間後、僕を両親のインタビューが終わった後、父さんが僕に聞いた「お前、スパイになるのはどうだ。」と重大な質問を聞いた。その瞬間答えられなかった僕は迷った。話を聞いたところスパイの給料はとても高い。その上楽しそうで、その仕事に付くと他の利点もある。だがスパイになり、他国の情報を取り入れるのはとても危ない。捕まったら高い確率で殺され、ミッションのプレッシャーも高いだろう。楽しくスパイの事を話していた我はいきなり真剣になった。決断出来ない自分が情けなく男らしくないと気づいた。そして僕ははっきり決断した。「僕にとって、父さんは模範的な存在だ。そして父さんがスパイだと気が付いた時は驚いた。そして僕にスパイになれと誘われた時はより驚いた。だが父さんは真剣だと気が付いた為、僕は決断した。僕はお父さんの様にスパイになります。」「さすが我が息子だな。」と父さんは僕に誇りを持つように言ってくれた。振り返ると、人生を一番変えた日だろう。

 この出来事の何日間後、僕は高校を脱落し、スパイ専門の学校へ転校した。そこで僕は熱心に勉強し、一流のスパイになるのを目指した。父さんの様になる為、金持ちになる為、両親に強い印象を与える為、理由が多すぎでプレッシャーを逃げ出すには勉強のみに集中することだった。二年間が風の様に過ぎ、僕はクラストップの成績で学校を卒業した。父さん母さんはとても光栄に思い、僕は学校で作った目標を全て達成することが出来た。入学した頃目標が見えないほど遠いと思っていた僕が楽に達成してしまい、良かったがドラマがなく少し残念だった。父さんは米国へ出張しに行き、卒業式に行けず、若干寂しかったが気にしなかった。母さんが居るだけで僕は満足だった。卒業式後、家に戻り、お父さんに言われた通りにした。

 父さんと母さんが昔働いていた本部に僕は行き、そこのスパイになる為応募した。試験を渡している人を僕の顔を意味なく観察し、何気に「お前の顔、何故か精通している気。雅か、昔のアイツの息子か。」と聞いてきた。僕は家の印象を良くする為元気強く「はい。今日はよろしくお願いしまう。」と答えた。

 三十分先に終わらせた僕に駆けつけてきたのは試験を渡していた職員だった。隣まで近づいてきた彼は試験を受けていた人の集中を散らせたがその事を気づかず、空気を呼んでなかった。彼の顔の目を反らせた。冷静だった彼は僕が試験を既に終わらせた事を気が付き、感心した。そして僕をある部屋に連れてった。中に入ったら四十歳前後の男性が二人隣同士に並んでいた。座られるのを待っていた様な大きな椅子が在った為、座り込んだ。真正面、その二人から眺められ、少し緊張した。罪悪は何もしていないため怒られる確率は無いことは明確だったが、何故呼ばれたかが気になった。左の男性は抽象的に言うと大きかった。頭や腹、足何処でも大きく見られた。太いと大きいは両方形容詞だ。多くはこの二つの差は少ないと思う人も居るが、この場合は違った。そして右の人は反対にややと痩せていた。体系は小さく、足はまるで爪楊枝のようだった。小学生が図工の時間で書く棒線人とそっくりだった。とにかく、左の男性が話し始めた。「我らは君がスパイになる資格を持っているのは既に気づいた。だがスパイになる前に伝えたいことがあるのだ。君は父さんから勧められスパイになる為応募した。これは事実か。」僕は隙間の時間でうなずいた。「父さんが君をスパイにさせたかった理由は知っているか。」と聞かれた。今回は頭を横に振った。「知りたいか。」と聞かれた。驚異的な声が僕を脅えさせた。決められなかったので混同したような顔で二人を見つめた。「今は未だ早いか。」と右の爪楊枝が甘えられたように言った。クラスに戻れと命令され、僕は問題なく戻った。だが父さんがスパイになってほしかった本当の理由が知りたく、堪らなかった。クラスに戻ったら賑やか、いや、うるさい生徒を抑えようとしていた先生の様な存在が居た。皆が試験を終わらせたと仮定した僕は先生に忙しいので帰りたい、と言い訳を言い家に戻った。家に戻ったら父さんがテーブルで素麺を食べながらプロ野球を見ていた。「試験はどうだった。」と僕の事を見ずに聞いた「簡単。」と短く答えた。部屋に行く間父さんが「また引きこもるなよ。」と冗談を言った。部屋に入り、布団の中にもぐった。そして考えた。本当の理由は何か。何故僕はスパイになったのか。その日は夜飯を食べ、早く寝た。

 数日後、合格した人のリストが発表される為、もう一度その本部へ行った。時間を節約する為、着いた途端にリストへ走った。リストをチェックしたら僕は当然合格した。そしてこの日もう一つ遣りたいことがあった。あの事実を知る為だ。本部の中を回り、僕と話した二人の名前を忘れたので探すのがとても難しかった。漸く見つかり、僕は早速「覚悟が出来ました。教えてください。」といった。もう一度同じ部屋に入り、大きい男性が語り始めた「何十年前、貴方の父さんは君のようにスパイになった。彼は強かった。体系も完璧で、筋肉もあり、頭が良く、反応時間も素早かった。理想的なスパイで本部の社長はとても感心された。我らは彼と同じ年だった。だから色々な情報を知っているのだ。だが我らと彼のレベルはよっぽど違った。彼の能力は急激に上がり、先生やトレーナーも彼を完璧にする為に集中した。彼を磨き上げ、最終的にはその本部で一番のスパイになったのだ。」僕は静かに聞き続けた。次には小さい爪楊枝の男性が練習したようにスピーチを推移した「丸一年が経ち、彼は準備が出来たと資格を貰い、初めてのミッションに旅立った。このミッションはすぐ近くの北朝鮮で核兵器の情報を得る為だった。彼は自信を持ち、旅立った。 我らはうらやましく、結果を出せるか出せないかが気になり堪らなかった。正直を言うと我らも注目が欲しく、ミッションを失敗して欲しかった。そう思い続けたある日、新しい情報が本部を渡った。君の父さんが北朝鮮の軍から捕まえられたのだ。三日後死刑が与えられると北朝鮮が宣言した。彼は十分の情報を取り得た為、韓国へ逃げ、飛行機で日本へ戻るのが理想的だった。死刑前日、彼は北朝鮮に住んでいた友達を呼び、ある方法で朝鮮を逃げ出したらしい。逃げた方法が誰にも教えなかった。とにかく彼は死刑の一週間後、殺されたと思われたが、本部へ無事に戻った。情報は全て指導者に与えた。この出来事が何週間も本部の話題になり、彼はとても有名になった。皆は彼がこのミッションを成功させたと思っていたが、個人的には失敗し、朝鮮の軍隊から捕まえられなかったら完璧だったと言った。期待は高くなり、二番目のミッションを任された。今回はイラクでテロの情報を得る為に送られた。皆は成功するのを当然だと予想し、彼の帰国を待っていた。そしたらもう一度捕まえられた。そして今回の警備、防衛はより高い為、逃げられる確立はほんのわずかだと彼も言った。朝鮮の行動通り、死刑が与えられると兆候を示した。死刑の日、本部の指導者が危険を覚悟し、弟子十人とイラクへ言った。一億ドルほどの金も持って行き、無事に賄賂し、君の父さんを救った。その時点、彼は退職した。トラウマ、仕事の危険、様々な理由と問題を抱えやめた。技や能力をもう少し磨けば大物になれたと指導者は語った。そして今は普通の仕事で住んでいる。」と言い、長いスピーチをドラマチックに終わらせた。僕は何も知らずスパイになった。父さんの基礎的な情報も知らず、恥ずかしかった。そしたら大きい奴が体のように大きな言葉を怒鳴った「君は父さんの復讐なんだ。やっと分かったか。父さんは君を成功させ、自分が出来なかった事を子供に遣って欲しいんだ。」僕は無意識に同意した。だが脳はこの新しい情報を耐えられず、爆発したかった。「質問はないか。」と親切に聞かれたが驚いた状況だった為、「無い。」と態度悪く答えた。家に戻り、頭を空白にした。

 懐かしい。またその時代に戻りたい僕が空しい。あれから三年、四年が経ったか。長すぎで詳しい情報は覚えていない。七回連続ミッションを成功させて調子に乗ってしまった。八番のミッションに送られたが、もう帰国は出来ないだろう。そして救える力を持っている人も着てくれないだろう。僕の一つの夢は父さんを誇りに思わせることだった。今夜の星はより眩しく輝いている。俺も星のように輝き、父さんが成れなかった大物になりたかった。あと少しで達成できた夢が一瞬で遠くに逃げた。父さんに申し訳なく、謝りたい。そして明日、僕の旅は終える。この展開は自分も予想してなく、一歩すっぽ抜けただけで起こってしまった。誰のせいでなく、単純に自分のミスだった。三日間連続部屋の中で篭った僕が馬鹿だったあの時、僕を父さんが僕の為に始めてスパイの職業を紹介してくれたあの日、母さんが一瞬に僕を許してくれたあの瞬間。回想するのが何しても辛く、目から一粒の涙が現れた。その一滴の涙は右の頬を渡り、彼の魂を天に浮かばせた。