グロスマン先生から、今日のメッセージ

毎週の学校の様子や、グロスマンアカデミーの教育方針について、グロスマン先生のメッセージをご案内するコーナです。


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(2014-08-18)西洋って何?

   井上ひさしの『握手』という小品が中3の国語の本に載っていて、それを7歳から16歳までの生徒達と読んでいるのだが、国語の本が、
日本に住んでいない日本の子供達から引き出す反応には、毎週びっくりの連続である。
   今週は、アメリか在住の子供達には『西洋』という概念はないという発見.西洋がないから東洋もない。
   『握手』の話は西洋料理店でルロイ修道士と会う事から始まる.この”西洋料理”の西洋が分からないのだ.第一そこで、注文したオムレツは、生徒達には毎日の自分たちの食べ物なので、何でそれに西洋がつくのかなのだ。オムレツではない卵焼きも自分たちの食べ物である。オムレツが西洋の食べ物ってどういう意味?と来る.欧米から来た卵料理だから、オムレツは日本人には西洋料理だが、その欧米に住んでいる子供達は、オムレツは自分の食べ物、アメリカは自分の場所、そこに西洋というラベルがはられていることがわからない。ルロイ神父が頼んだプレーンオムレツと卵焼きを比べてみると、日本人がいう西洋が分かるかもしれないというので、オムレツはなにでつくるかで聞くと、バターでやくとか、ミルクをいれるとか。中にいろいろ入れるとか、食べる時はケチャップをかけるとか、ねえ、知ってる?卵の寿司にケッチャップを付けて食べる人いるよ.日本人じゃないけど。と
面白い脱線もある。
   卵焼きは何を入れて焼くのか.お弁当に卵焼きは人気の一つなのに、自分で作る子供はいないらしく、何が入っているのか分からない.でも、卵焼きの味は醤油の味だというのはしっている。
   オムレツに使うミルクとバターはどこから来る?牛!
   卵焼きに使う醤油はどこから来る?豆!、大豆!

   オムレツを食べるところを西洋といった、要するに牛にたすけられていたところのことだ。卵焼きを食べるところのニホンを東洋といった、要するに大豆にたすけられていたところのことだ。今、子供達が読んでいるビルマの竪琴のビルマがヤシの実でなにからなにまでつくって、生活をたすけられているように、人類は住んでいるところによって、食べるものが違い、生き方も違った.だから、つくるものもちがった。
   でも今は、世界中、どこでも同じ物をつくっているように見え、世界中同じ物を使っているように見え、世界中が寿司もオムレツも食べているように見える。

   西洋なるところは今では西といったり、先進国といったり、欧米といったり、いろいろいい方はあるが、そういう区別をするのはもう古いタイプだけだろう。グローバル時代に、アメリかで育っている子供達には全く意味をなさなく成っている区分けである.世界を、どんな基準であれ、ブロックにわけるのはナンセンスだと思っている子供達に西洋を説明しても、なにそれ?OBSOLETEの化石語?

   西洋って何?と生徒達が聞いた時は、西洋という言葉も知らないのかと驚いたのに、次の瞬間に、私も、西洋って何?西洋が何よ?と、西洋、東洋の区別のない子供達の世界観をかりたくなった。そのとき、私は生まれてはじめてすばらしい開放感を味わったのである.西洋も東洋も死語になるときがきた!
   
   このクラスの生徒達は小説をまず日本語で書き、次にその小説を英語で書く.それが当たり前だと思っている.英語が西洋で、日本語が東洋だ等と、思う訳がない。
  
  ウクライナを西洋圏には入らせないと夢中になっているロシアに、西洋って何?と聞いているグロスマンアカデミーの生徒達の意識を分けてやって、オムレツも卵焼きもどっちもうまいよとおしえてあげたいものだ。


   
   

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